昼休みに日本橋までフミ散歩。大好物の手回し式パラパラ漫画を堪能しに行ってきました。アニメーションの世界観もとても魅力的です。オススメ!
榊原澄人 S.R.Z 手回し式パラパラ漫画展
会 期:2022年6月27日(月)~7月9日(土)
12:00~19:00
YUKI-SIS
103-0023 東京都中央区日本橋本町3-2-12 日本橋小楼202
Phone : 03-5542-1669
YUKI-SIS では、6月27日(月)-7月9日(土)榊原澄人個展 “The Emergence of Synchronic Recipro-Inclusive Zone -共時的相互包摂境域ノ出現(キョウジテキソウゴホウセツキョウイキノシュツゲン)-”を開催いたします。
国内では、文化庁メディア芸術祭大賞受賞作品「浮楼」、DOMANI展(2015)にて大絶賛を浴びた「É IN MOTION No.2」、そしてスパイラル30周年記念展「スペクトラム」で発表された「Solitarium」をはじめとするアニメーション映像作品で知られ、美術館やアートフェスティバル等での上映、そして海外の多数の映画祭で作品が招待上映、受賞多数。その才能が世界で注目されるアニメーション作家です。また2021年制作された「飯縄縁日-Iizuna Fair-」は、2021年長野県立美術館改装後初のこけらおとしの展覧会として発表され、常設展示として現在も上映されています。
久しぶりの個展となる今展、榊原澄人はメディア史の原初に現れた「パラパラ漫画」との邂逅から未踏の時層へと旅立つ『S.R.Z. 〜共時的相互包摂境域ノ出現』を発表します。また、同時に最新作アニメーション「飯縄縁日-Iizuna Fair-」も上映致します。
[Artist Note]
言葉と沈黙のあわいで
詩はどこから生まれて 絵は何によって像を結ぶのだろうか
音楽はどこからきて Anima(生命/魂)は何に起つのだろうか
私達は普段、自らの生を生きる中で〈時間〉という非可逆的性質を持つ〈界層〉において、自らの過去、忘れたくないもの、忘れられない事、ノスタルジーや来るべき世界への期待や不安、恐怖、予感と共にいきている。こうなりたい自分、ああだったからこうなってしまった自分。それらが今の「私」を形成し、「自我」や「自己同一性」を獲得していると信じて生きている。
しかし私達は本当にそのような理知的でロジカルな因果律やクロノロジカルな時系列によって己の生を生きているのだろうか。歴史の中で自らの立ち位置を見出し、時代を背負い、記憶と展望の中にのみ生きているのだろうか。「言葉」や「意味」によってのみ生きているのだろうか。その生はあまりにも苦しく、辛い。辛いけど、そういうものを抱えて生きるより他はない。リニアな線(戦)上では。
映像、とりわけアニメーションは「生命/時間/こころ」という命題を強烈に孕んだ媒体である。
私達は現代におけるこの映像という時間を極に意識する媒体にあって、改めてこの「時間・歴史・世界・生命」そのものについて問うている。
理知的にではなく、心の働きによって。詩がうまれる<界>に想起して。
私達の生命は何に立脚しているのか。時間とはなんなのか。「こころ」はどこから生まれるのか。非時間的〈界〉の可能性と、私達の生、Anima(魂)、詩性(ポエジー)の寄り起つ〈界〉の今世紀における思わぬ邂逅は、ヒトの歴史が始まって以来受け継がれてきた「芸術」という営みの中で脈々と息づいてきた「共時(非時間)的感覚」にぼんやりと、解像度をあえて低くしながらフォーカスを当てている。
理性で去勢され、頭でっかちになった現代の私達の生が世界に対して謙虚さを取り戻し、自らの生を他に依拠しつつ自らの命を生きること。個の内在的抒情が迸る衝動に突き動かされて吐露される時、芸術はANIMA(生と死)の息吹として思想や時代、時間の層を超えて直接観る者、聴く者に言葉以前の言葉として語りかけてくる。
作品が時間を包摂した映像という媒体を通して、そのような非理知的で非時間的体験を観るものにもたらすことができればこの上ない。
榊原澄人
※ 展覧会情報はギャラリーの公式サイトより文章を抜粋させて頂いております。