フミ3ぽ

デザイン仕事の合間に表参道までフミ散歩。
長い間、親しんできた手法に固執し過ぎずに、時代を受け入れ、常にバージョンアップを重ねる姿勢。見習いたい。

高木由利子 写真展

chaoscosmos vol.1 — icing process —
カオスコスモス 壱 — 氷結過程 —

会期:2022年10月7日(金) – 11月28日(月)
会場:GYRE GALLERY | 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F |
お問い合わせ:0570-05-6990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
主催:GYRE
企画・構成:papalagi studio
グラフィックデザイン:長嶋りかこ
会場構成:立体集団ガリネル
PRディレクション:HiRAO INC

作家がレンズを通して受け取る、
肉眼では捉える事の出来ない自然現象に潜むメッセージ

寒冷地に移住した私は氷点下の夜に、小さな容器に水を張って氷を作ってみようと試みた。水は外側から徐々に中心に向かって氷結し始めるという特性がある。ある朝、ひょんなことから、水が氷に変貌する過程を目撃した。それは、雲母よりも薄い透明の結晶が引きしめ合いながら成長する過程だった。透明の結晶は、透明の水の中では目視できないのだが、いったん空気に触れ、光を直接浴びた瞬時にその全貌を見せてくれた。その時から、私の氷の観測と撮影が始まった。同じ条件のもとでも、一つとして同じ形状は現れず、毎日目を見張るような多様性に驚かされた。宇宙の多様性の縮図のような氷結過程は、氷点下の夜に行われる密儀。そのセレモニーに、あなたも是非ご参列ください。

chaoscosmos

カオス(混沌)から、何らかの働きの元に、コスモス(秩序=宇宙)が誕生したであろうと、私は長い間、漠然と想像していた。つまり、混沌と秩序はどちらかと言うと、私の中では因果関係に近かった。とあるきっかけで、自然現象をレンズを通して捉えていくうちに、もしかするとカオスとコスモスは同時多発的に共存しているのではないか、と言う「気づき」が生じてきた。宇宙の摂理は、私たちが日常的に漠然と受け止めているよりも、遥かに複雑で綿密で意外性に富んでいるようだ。それぞれの物質、生命の特性(現象)は、この宇宙に存続するための方法論なのかもしれないとも思う。その現象が時として、レンズを通して視覚的に現れることがある。肉眼では見えない、あるいは気付かない自然現象に潜んでいる MMM注)を、ある時から、カメラというメカニズムを介して、ささやかなメッセージとして受け取るようになった。 そのメッセージを、私は chaoscosmos と呼ぶことにした。
注)M: magical M: mysterious M: miracle

—— 写真家 高木由利子

高木由利子(写真家)

東京生まれ。武蔵野美術大学にてグラフィックデザイン、イギリスのTrent Polytechnic にてファションデザインを学んだ後、写真家として独自の視点から衣服や人体を通して 「人の存在」を撮り続ける。近年は自然現象の不可思議にも深い興味を持ち、 「chaoscosmos」というプロジェクトを映像を含め新たなアプローチに挑戦し続けている。
collection: 東京国立近代美術館,原美術館,神戸ファッション美術館,目黒美術館,上海美術館
publication: nus intimes/ 用美社、 In and Out of Mode/ Gap Japan、 skin/芙蓉舎、 CONFUSED GRAVITATION/美術出版社、Sei/Edition Xavier Barral など

※展覧会情報はGYRE GALLERYホームページより抜粋して掲載させて頂いています。